万年初心者のための世界史ブックガイド

2008年4月10日

F・フェイト 『スターリン以後の東欧』 (岩波書店)

Filed under: 東欧・北欧 — 万年初心者 @ 06:00

『スターリン時代の東欧』の続巻。

叙述範囲は1953年スターリンの死から1970年代末まで。

前巻と同じく、説明が詳細かつ丁寧で曖昧さを残さないのが非常に良い。

価値判断も穏当・適切で、東欧共産圏崩壊後の今読んでも全然違和感が無い。

訳文もよく練られていて読みやすい。

戦後東欧史として極めて優れており、基本テキストとして十分。

読む上で、まず1953年スターリン死と東ベルリン暴動、56年スターリン批判とポーランド・ハンガリーの動乱、68年「プラハの春」とチェコへのソ連軍事介入という三つの最重要事件の年代を暗記しておいて、その前後関係で史実を捉えると便利。

硬直したスターリン主義的抑圧体制とソ連への従属から、各国が一定範囲内での自由化・自立化を遂げていく過程を読み取っていきましょう。

内政面では共産党一党独裁を前提にした上でのある程度の自由化と市場経済の部分的導入、外交面ではソ連による事実上の主権制限から逃れる動きが出てくる。

国によって内政・外交両面での変化の割合が異なるので、その各国事情を大雑把にでも頭の中で再現できるようになればよい。

東ドイツのように内外政策共に教条的な路線をほとんど変えなかった国もあれば、56年以後のハンガリーのように大胆な改革に乗り出した国もあり、中にはルーマニアのように外交面では自立的でありながら内政面では硬直した計画経済と抑圧体制を取った国もある。

なお、その過程で各国の主な指導者名はやはり記憶した方がいいと思う。

東ドイツのウルブリヒトとホーネッカー、ポーランドのビエルトとゴムルカとギエレク(と本書の範囲外だがヤルゼルスキ)、チェコスロヴァキアのゴトヴァルトとノヴォトニーとドプチェクおよびフサーク、ハンガリーのラコシとゲレとイムレ・ナジおよびカダル、ルーマニアのゲオルギウ・デジとチャウシェスク、ブルガリアのディミトロフとチェルヴェンコフとジフコフ、ユーゴスラヴィアのチトー、アルバニアのエンヴェル・ホッジャなど。

以上挙げた人々がどのような政治姿勢を取ったのかを大まかにでも言えるようになるのが望ましいと思われます。

70年代末以後、89年の体制転換に至る歴史については『激動の東欧史』(中公新書)などで補強して下さい。

前巻と併せて強くお勧めできる本です。

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