万年初心者のための世界史ブックガイド

2008年1月16日

塩野七生 『サイレント・マイノリティ』 (新潮文庫)

Filed under: 史論・評論 — 万年初心者 @ 06:00

いくつかある著者のエッセイ集の中では、本書は内容が多岐にわたり面白い方だと思う。

世界史上の事件・人物に関わる文章や、著者の歴史叙述の方法論など。

他には、同じ新潮文庫の『イタリア遺聞』がお勧め。

・・・・いかに困難な作業であろうと、「なぜ」と「どのように」の二つから逃げるわけにはいかない。確実に真実であることしか興味はないという人には、いつ、どこで、誰が、何をしたかだけで満足してもらって、今のことならテレビ・ニュース、歴史上のことなら、大学入試必勝法の歴史編に眼を通せば解決するであろう。しかし、それでは、歴史を読んだり書いたりする理由も愉しみもまったくない。

歴史というものは複雑で細かいディテールの集合体であって、それを新書版風に整理整頓してしまっては、歴史を読む愉しみが台無しになる危険がある・・・・

学究の徒ではなくても私も人並みに本は買うが、ルネサンス、などと大仰な表題の本は絶対に買わない。それよりも、中世の寺院の建造中、大工や左官や彫刻師にどのように給料を払っていたかを調べたものや、ガレー船上の食事についての本などを見つけると、ただちに駆けつけて買う。ルネサンスがどんな概念でできあがったかなど、一度読めばたくさんで、こんなものばかり読んでいると、歴史の愉しみを味わう境地からはずれてしまうように思えるのだ。

「ファシズムが天下を謳歌していた時代は反ファシストとして敵視され、戦争が終って民主主義の時代を迎えるや、保守反動と非難された」イタリアのジャーナリスト、レオ・ロンガネージの日記より。

1938年12月15日

ファンファーレ、旗の波、延々と続く行進。

一人の馬鹿は、一人の馬鹿である。二人の馬鹿は、二人の馬鹿である。一万人の馬鹿は、“歴史的な力”である。

1944年1月14日

アメリカ製の缶詰の肉は、喜んでいただく。しかし、それについてくる彼らのイデオロギーは、皿に残すことにした。

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