万年初心者のための世界史ブックガイド

2008年1月9日

F・フェイト 『スターリン時代の東欧』 (岩波書店)

Filed under: 東欧・北欧 — 万年初心者 @ 06:00

第2次世界大戦後から1953年スターリンの死までの東欧共産圏の歴史。

著者の立場として、極端に粗暴な反共主義には同意していないが、この時期のソ連による強引な「上からの共産化」が冷戦の直接的原因であったとはっきり指摘している。

まず反ソ勢力をのぞいた連立政権をつくるが、その際、警察と軍隊は共産党がにぎる。そして、共産党の権力奪取にとって邪魔になる政党を、警察とソ連占領軍との協力によって弱体化させつつ、猛烈な干渉をともなう選挙をおこなって共産党の支配を確立し、共産党の権力がかたまった後で社会党を吸収合併するというものである。(高坂正堯『現代の国際政治』

以上のような手口でポーランドをはじめとする国々で人民民主主義という名の独裁体制が確立され、1948年2月には東欧で唯一議会が正常に機能していたチェコスロヴァキアでクーデタが起こり共産党が支配権を握る。

同じ48年の6月には前年結成されていたコミンフォルム(共産党情報局)からユーゴスラヴィアが除名され、以後ユーゴはソ連と衛星国からの猛烈な非難・攻撃の対象となる。

もともとチトー率いるユーゴ共産党はソ連に忠実であり、西側への強硬姿勢も徹底したものだったが、収奪に等しい経済合弁事業や党・軍・治安機関への親ソ分子浸透を拒否したためスターリンの逆鱗に触れ、体制崩壊を狙うソ連の圧迫を受けるが、チトー・カルデリ・ジラス・ランコヴィチらのユーゴ指導部はよく団結を守り政権を維持する。

以後衛星国の自主性を可能な限り抹殺しようとするソ連の方針はますます厳しくなる。

信じがたいが、この時期ポーランド系とは言え、れっきとしたソ連軍人であるロコソフスキー元帥がポーランドの国防相と軍最高司令官に就任している。

ユーゴ除名がソ連国内でのキーロフ暗殺と同じような役割を果たし、「チトー主義者、ファシスト・西側のスパイ」という名目で残酷な粛清が行われ、ハンガリーのライクやブルガリアのコストフ、チェコのスランスキーのような最高指導部に属した人間が見世物裁判の後死刑に処せられた。

ポーランドのビエルト、チェコのゴトヴァルト、ハンガリーのラコシ、ルーマニアのゲオルギウ・デジ、ブルガリアのディミトロフおよびチェルヴェンコフ、アルバニアのエンヴェル・ホッジャ、東ドイツのウルブリヒトなどの「小スターリン」たちが暴政を布く。

スターリン死後、ソ連の支配はやや緩み、ポーランドのゴムルカ(粛清に巻き込まれ逮捕されるが幸運にも死を免れた)に代表される、ある程度の独立性を持った指導者が政権に就くことになる。

史実を要領よく説明している読みやすい本です。

ただ初心者はまず上記の『現代の国際政治』や猪木正道『冷戦と共存』猪木正道・佐瀬昌盛『現代の世界』などの国際政治史の本を一冊読んでおいた方が良いと思います。

一読すれば、かなり多くのものが得られる良書です。

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