万年初心者のための世界史ブックガイド

2007年12月17日

足利惇氏 『ペルシア帝国 (世界の歴史6)』 (講談社)

Filed under: オリエント — 万年初心者 @ 06:00

1970年代後半に刊行されたこの講談社旧版「世界の歴史」は、アフリカ史の巻があったり東南アジアが島嶼部と大陸部に別れてたりといった特徴があるんですが、ペルシア史の巻がオリエント史から独立しているのもその一つ。

これを英断と見るか、それともバランスが悪いと言うべきか。

読んでみないことには始まらないので、手に取ってみました。

結論を言うと微妙な出来。

アケメネス朝・パルティア・ササン朝の三つの政権についての本なんですが、歴代君主の記述などは確かに貴重ではある。

覚えるのは相当厳しいですが。

各王朝の宗教・美術・建築など文化面にも多くの紙数が割かれ、社会制度にも軽く触れられているが、何となく間延びした印象。

(これは単にそういう記述を好まない私の性向がそう思わせてるだけかもしれませんが。)

アケメネス朝とパルティアに挟まれたヘレニズム時代の章もあるが、私が最も知りたいアレクサンドロス大王死後のディアドコイ戦争と後継三王朝樹立の過程はごく簡略に済まされていて期待外れ。

その三国家のうち、東方領域を支配したセレウコス朝シリアだけ詳しい記述があり、歴代の王の系譜と彼らがバクトリア・パルティアの独立とローマの進出に対していかに対処したかが述べられている。

この部分も日本語で読める類書が少ないので貴重ではあるが、それほど面白くはない。

全般的につまらないとは言わないが、特に良いとも思えない。

まあ読んで損したとは思わないので、できれば講談社学術文庫にでも入れて欲しいです。

(ちなみに著者は名前を見てお分かりのように室町将軍家の子孫です。戦前、ある教師から「君は逆賊の子孫だから」と言われて非常に不愉快だったと別の本で述懐していたのを読んだ記憶があります。)

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