万年初心者のための世界史ブックガイド

2007年11月19日

『新世界史』 (山川出版社)

Filed under: 教科書・年表・事典 — 万年初心者 @ 06:00

私が高校時代使っていた教科書は『詳説世界史』ではなく、これだった。

確か初めて出てから2、3年経ったころの版のはず。

山川出版社のHPを見ると、新たな執筆者を加えて今も出版されているようだ。

これは「論述試験向けの教科書」というのがウリで、細かな歴史用語はあまり載せず、史実の因果関係を重視した記述だと言われていた。

実際使ってみると確かにそういう傾向があり、例えば、高校時代の版で今でもはっきり覚えているのが、西晋末の内乱で「八王の乱」という用語は載っていなかった(私が今所持している2002年印刷の版では載っている)。

そのようなごく基礎的な用語が抜け落ちている一、『世界史B用語集』では低頻度の固有名詞が太字で載ってたりしていた(パルティア王ミトラダテス1世やイタリア戦争を終結させたカトー・カンブレジ条約など)。

またその表記も他の本とは異なるところが多かった。例えば、1・アクティウムの海戦→アクティオンの海戦、2・ニケーア公会議→ニカイア教会会議、3・サラディン→サラーフ・アッディーン、4・アイゼンハワー→アイゼンハウアー等等。

(1は括弧してアクティウムの表記も入れていた。2は今の版だとニケーアに戻っているが、そのあとはやはり「教会会議」。3もサラディンは括弧して書いていたが、この言い換えは私が高校生のころは一般的ではなかった。『詳説』では当時はサラディンだけ。4は今でもアイゼンハウアーのままの模様。)

因果関係や史的評価を記した部分も今読むと「・・・・?」と思うところもある。

今の版でも載っているかどうか知らないが、ローマ史の箇所では弓削達氏が書いたと思われるコラムがあって、そこでいわゆる「ローマの平和」をあまりに一面的に批判しており、よく言われる近現代のあれこれの記述より、この部分こそ「偏向教科書」の見本じゃないかと思った。

卒業してから、浪人時代に書店で『詳説世界史』を手に入れ併読したが、癖の有り過ぎる本書より、面白みは少なくともごくオーソドックスな『詳説』の方が良いと感じた。

高2で世界史を履修し、配付されたこれを6月くらいまでに通読して、初めて世界史の全体像を大まかに知って非常に面白いと思ったものである。

そう考えるとこの教科書は今も続く自分の趣味の基礎を作ってくれた本とも言えるのかもしれないが、改めて読むとさほど感心する出来ではないなというのが正直な気持ちです。

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