万年初心者のための世界史ブックガイド

2007年11月16日

君塚直隆 『ヴィクトリア女王』 (中公新書)

Filed under: イギリス — 万年初心者 @ 06:00

先月下旬に出た伝記。

教科書では大英帝国絶頂期に長期間在位した象徴的君主として名前が出ているだけのヴィクトリア女王の個性や政治的行動について詳細にわかりやすく叙述している。

メルバーン、ピール、パーマストン、ディズレーリ、グラッドストン、ソールズベリなどの首相たちとのやりとりが興味深い。

19世紀イギリス史のテキストとしても充分使える有益な本。

スタンリー・ワイントラウブ『ヴィクトリア女王 全3巻』(中公文庫)が長いし読みにくいなあと思っていたので、こういう本が出版されたことは非常に助かる。

リチャード1世やヘンリ8世、チャールズ1世などの君主についても同様の伝記が出て欲しいです。

それと、ちょっとわき道に逸れますが、ウィリアム1世からヴィクトリア女王(あるいはジョージ3世)までのイギリス国王はやはりすべて記憶すべきだと思う。

(自分も一部あやふやなのに人に勧める資格は無いんですが。)

なぜなら初心者にとってそれが一番自然で覚えやすい時代区分だから。

国王の系図と個性と治世のあらましを頭に入れれば通史の基礎を容易に築くことができる。

(19世紀以降は内閣順となるんでしょうが、これは全部覚えるのは相当苦しいでしょう。)

私がアンドレ・モロワ『英国史』福田恒存『私の英国史』などをしつこいほど勧めるのも、国王を中心とした政治史という古くさい体裁の通史でなおかつわかりやすく面白い本だから。

そういう基礎を重視した通史がイギリス以外の国でも多く出て欲しいです。

しかし中公新書はコンスタントに歴史関係のいい本がラインナップに並びますね。

今月下旬の新刊でも『ケネディ 「神話」と実像』というのが出るようです。

それは非常に結構なんですが、それに引き換え中公文庫は最近低調極まる。

復刊して欲しい本はいくらでもあるんですから、もう少し頑張ってもらいたいもんです。

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