万年初心者のための世界史ブックガイド

2007年9月28日

吉川忠夫 『侯景の乱始末記』 (中公新書)

Filed under: 中国 — 万年初心者 @ 06:00

『劉裕』がかなり面白かったので、同じ著者の本書も読んでみた。

仏教に耽溺し、絢爛たる貴族文化を背景に、南朝の最盛期を築いた梁の武帝の治世が、東魏からの叛将侯景の亡命を受け入れたことを事の始まりとして、無残に崩壊していく悲劇を叙述していく。

物語の展開としてはなかなか面白いが、初心者には少々読みにくい部分もある。

復刊希望が多く寄せられていて、古書にプレミア価格が付いているとも聞くが、そんなに大騒ぎするほど名著かなあというのが正直な感想でした。

まあいずれにせよ、早いとこ文庫化をお願いします、中央公論様。

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2007年9月25日

福田和也 『乃木希典』 (文芸春秋)

Filed under: 近代日本 — 万年初心者 @ 06:00

最近文庫版も出ました。

短いのであっという間に読めます。

司馬遼太郎『殉死』とはまた異なった視点からの乃木の評伝。

私はどちらかというと、こちらの乃木観の方に共感を覚える。

なお著者が月刊文芸春秋で連載中の『昭和天皇』の単行本化が楽しみです。

2007年9月21日

ポール・ジョンソン 『アメリカ人の歴史 1』 (共同通信社)

Filed under: アメリカ — 万年初心者 @ 06:00

『新版概説アメリカ史』(有斐閣)の記事で、アメリカ通史に関していろいろ書きましたが、結局試しにこれを通読してみようかなと思い、手に取りました。

全3巻のうち、この巻は16世紀初頭の植民から1814年米英戦争終結まで。

全般的になかなか巧く書けてはいる。

マサチューセッツ植民地初代総督のジョン・ウィンスロップ、ロードアイランド植民地建設者ロジャー・ウィリアムズなどの人物を個性豊かに叙述することによって、植民地時代の歴史も退屈せずに読める。

独立後の歴史も要領よくまとめられている。

しかし、長い・・・・・。

400ページ余りの本書を三日かけて読んで、即第2巻に取り組んだんですがグッタリして読むペースが極端に落ちました。

2巻も500ページ超の分量で、冒頭から100ページほどのジャクソン政権の辺りまで読んだところでウンザリして、とりあえず一時放置することにしました。

無味乾燥で大まかな史実を羅列しただけの本になるのを避けようとすれば、ある程度のボリュームが必要なのはわかるが、もう少しコンパクトにまとめてくれないものでしょうか。

膨大な史実から取捨選択した事件を巧みに組み合わせて物語を作り、印象的な人物描写で読者の記憶を鮮明にし、飽きがこないように読ませる技量はかなり優れているとは思う。

しかし、史実や政治概念の評価については、興味深い記述もある一方、ずいぶん凡庸なこと言うんだなと思えた部分もかなりあった。

あと附属の地図が貧弱で、他の史料集や歴史地図を見なければならなかったことが多かった。

年表や歴代大統領一覧などが無いのも不親切である。

総合的な評価は微妙です。

できればもう一度手にとって全巻通読したいとは思いますが、これをアメリカ史の基本書にするのはちょっと躊躇する。

当たり前のことしか言えなくて申し訳ありませんが、ご自身の目でお確かめくださいとしか言えません。

2007年9月18日

高坂正堯、尾上正男、神谷不二 『アジアの革命』 (毎日新聞社)

Filed under: 近現代概説 — 万年初心者 @ 06:00

第二次世界大戦後の内戦に関する本。

内戦・テロ・ゲリラ戦についての一般的研究、マラヤ共産ゲリラ鎮圧の歴史、インドネシア軍の軍事理論、ヴェトナム戦争の考察が内容。

楽に読めて、わりと面白い。

特にマラヤにおける共産ゲリラ討伐の歴史は、この辺を書いた類書が少ない上に、要領良く記述されていて、非常に良い。

マレーシア現代史の簡単な入門として使える。

1966年刊とやたら古いが、今読んでもそれなりに参考になる。

なお、最近毎日更新してきましたが、明日からまたペースがガタ落ちになります。

忘れた頃に更新すると思いますので、気が向いたらまたお越し下さい。

2007年9月17日

I・バーリン 『ハリネズミと狐 「戦争と平和」の歴史哲学』 (岩波文庫)

Filed under: 史論・評論 — 万年初心者 @ 06:00

ちょっと奇妙なタイトルだが、「ハリネズミ」とは普遍的一元的ヴィジョン、「狐」とは個別的多元的ヴィジョンの象徴として使われている。

トルストイの長編小説『戦争と平和』に記された歴史観を検討することによって、歴史における自由と必然、個別事象とその因果関係についてあれこれ考察した本。

私の頭では理解しにくいところもあったが、全然論旨を掴めないほどでもない。

特にお勧めと言う訳でもないですが・・・・・。

E・H・カー『歴史とは何か』(岩波新書)と読み比べるのも良いでしょう。

2007年9月16日

A・ハミルトン、J・ジェイ、J・マディソン 『ザ・フェデラリスト』 (岩波文庫)

Filed under: アメリカ, 思想・哲学 — 万年初心者 @ 06:00

1787年制定されたアメリカ合衆国憲法への賛成を促すために書かれた著名な政治論文の抄訳。

いわゆる連邦派の人々の政治的主張を述べた本であり、アメリカ建国の父たちのうち、ジェファーソンに代表されるのとは違った、もう一つの流れを知ることができる。

と思って読んだのですが、どうもいまいち。

今まで読んだ乏しい本の記述から、三人の著者のうちアレグザンダー・ハミルトンに私は強い敬意を持っていたので、大いに期待していたのだが、目の醒めるような叙述はさほど多くなかった。

読み飛ばしたわけではなく、一文一文丁寧に文意を取りながらじっくり読み込んだのだが、権力の空間的分割としての連邦制と機能的分割としての三権分立制による抑制均衡原理の利点が淡々と書かれているだけ。

「民主主義の権化」アメリカの独立直後の指導者が書いたこの論説で、直接民主政への警戒がかなり垣間見られるところは少し面白かったが、それも強く印象に残るほどではない。

これだけの古典なので、9割方読み手の私の問題なのは間違いないが、エドマンド・バーク『フランス革命の省察』を読んだ時に、政治に関する叡智の泉だと思えたほどの、圧倒的な読後感は明らかに無かった。

まあ有名な本ですから、一読したのは悪くなかったとは思いますが。

2007年9月15日

クラウゼヴィッツ 『戦争論 上』 (岩波文庫)

Filed under: 思想・哲学 — 万年初心者 @ 06:00

大学の講義テキストとして上巻だけ買った。

無理やり通読したが、なんだか訳のわからないままとりあえず目を通したというだけ。

私が読むような本ではなかった。

この岩波版は訳文が古く不必要に難解との評があるみたいだが、私の頭では他の訳で読んでも同じでしょう。

ピーター・パレット『クラウゼヴィッツ 「戦争論」の誕生』(中公文庫)は、著者が有名な戦史家らしいので、機会があれば読んでみようかなと思いますが。

2007年9月14日

長崎暢子 『インド大反乱一八五七年』 (中公新書)

Filed under: インド — 万年初心者 @ 06:00

最近「セポイの反乱」ってすっかり言わなくなりましたね。

私は中学以来馴染みのこの言い方が好きですが。

本書はこの反乱についての標準的入門書。

巻置く能わずという面白さは無いが、無味乾燥というわけでもない。

ごく普通の内容。

通読すれば、史実の大体の流れが理解できます。

機会があれば、一読しておくのも悪くないでしょう。

2007年9月13日

竹田いさみ 『物語オーストラリアの歴史』 (中公新書)

Filed under: オセアニア — 万年初心者 @ 06:00

オセアニアが実質ゼロなのも寂しいなあと思っていたので、「まあとりあえずこれでいいだろ」と適当に選んだこれを読んだ。

さして面白いもんでもないが、マイナー分野の入門書としてはこれで十分じゃないでしょうか。

目次を見るとテーマ別構成のように見えるが、実際読んでみると大体年代順の記述になっている。

特に読みにくいところもなく、初心者でも楽に通読できる。

シドニー、メルボルン、キャンベラ、ブリスベン、アデレードの大体の位置関係とか、そのうちどれが首都かとか、太平洋上のポリネシア、メラネシア、ミクロネシアの分布とか、歴史以前のごく基礎的なことも頭に入る。

割とお勧めです。

2007年9月12日

塩野七生 『ローマ人の物語 29・30・31 終わりの始まり』 (新潮文庫)

Filed under: ローマ — 万年初心者 @ 06:00

文庫版で出ているのは今のところ、この巻までです。

アントニヌス・ピウスの治世の復習から始まり、哲人皇帝マルクス・アウレリウス・アントニヌスを経て、混迷の軍人皇帝時代初期まで。

タイトル通りこの巻から帝国衰亡の叙述に入るが、そこに五賢帝最後の二人を入れていることからわかるように、両アントニヌス帝への著者の評価はかなり低い。

冒頭でアントニヌス・ピウスに改めて触れているが、前巻ではあっさりした感じで肯定的でも否定的でもなく簡単に済ませていたのが、本書では相当厳しい記述。

個人としては温和で良心的な人物であっても、皇帝としては、前任者ハドリアヌスの遺産をただ食い潰して必要な措置を取らず、後世に大きな問題を先送りした人という評価である。

続くマルクス・アントニヌス帝もその高潔な人格に賛辞を呈されるものの、有能な統治者とは認められていない。

ただし息子のコンモドゥス(コモドゥス)に帝位を継承させたことを失敗とは断じていない。

そうしなければ間違いなく内乱の危険があったとしている。

南川高志『ローマ五賢帝』(講談社現代新書)でも、五賢帝時代の「養子相続制」など実際には存在しなかった、単にマルクス帝までの四人に男の実子がいなかっただけの話だと書いてあった。

とは言えコンモドゥスが史上ネロ、カリグラと並ぶ暴君の汚名を着たことも事実である。

世界史上、「不肖の息子」は数あれど、「親との落差」という点では疑いなく最悪レベルではないか。

コンモドゥス暗殺の後、ペルティナクス、ディディウス・ユリアヌスの短期の治世を経て、帝国はブリタニアのクロディウス・アルビヌス、シリアのペスケンニウス・ニゲル、パンノニアのセプティミウス・セヴェルスの三者間の内戦に突入する。

結局セヴェルスがニゲル、アルビヌスを各個撃破し、帝国の秩序と統一を回復するが、その政策は軍人階層の社会からの隔離と特権化、中央政府の財政破綻を促し、後世に大きな問題を残す。

この巻は結構面白いです。両アントニヌス帝への評価など意外な記述が多く、興味をそそられる。

物語の展開と著者の史的批評がよく組み合わさっており、良質な啓蒙書として十二分に使える。

2007年9月11日

塩野七生 『ローマ人の物語 27・28 すべての道はローマに通ず』 (新潮文庫)

Filed under: ローマ — 万年初心者 @ 06:00

これまで時代順に一般的通史の形式できたのだが、ここで流れを断ち切って、全編道路・水道・教育・衛生などローマの社会基盤の話で占められた巻。

確かに以上のような分野に際立って秀でていたのが、他の文明と区別されるローマ帝国の特徴かもしれないが、それで一巻費やすこともないんじゃないかというのが、正直な感想。

ざっと読んだところさほど長大でもないし、ちょっと無理をすれば各巻の通史の中に収めることも可能ではないかと思えた。

一年待たされてこれじゃあなあ、と刊行当時やや失望したのを覚えている。

まあ私のように、政治史しか興味がない(読めない)というのも歪んでますから、こういう分野を読むいい機会だと考えるべきなんでしょうが。

2007年9月10日

塩野七生 『ローマ人の物語 24・25・26 賢帝の世紀』 (新潮文庫)

Filed under: ローマ — 万年初心者 @ 06:00

トラヤヌス、ハドリアヌスの二帝と最後にアントニヌス・ピウス帝の治世を軽く付け加えた巻。

前の巻よりは面白い。

五賢帝といっても、著者の中では「二賢帝」らしく、トラヤヌス・ハドリアヌスの評価だけが際立って高い。

特にハドリアヌスはアウグストゥスに次ぐほどの評価で絶賛に近い。

この巻で9巻目だが、まだ五賢帝時代も終わらないのか、相変わらずペース遅いなあと、刊行当時は思ったのだが、なんだかんだ言ってピッタリ収まったのだから不思議だ。

なかなか手堅く仕上がった巻です。

2007年9月9日

塩野七生 『ローマ人の物語 21・22・23 危機と克服』 (新潮文庫)

Filed under: ローマ — 万年初心者 @ 06:00

一読した感想。

「つ、つまらねえ・・・・・。」

そんな読後感を持ったのはこのシリーズで初めて。

もちろん一定水準はクリアしているのだが、前巻までより面白さは相当落ちてる。

安定期に入った帝政時代という題材にも原因があるんでしょうが、率直に言って叙述自体の質もやや下がり気味という気がしてならなかった。

例えば、本書の前後あたりの巻では同表現の繰り返しが鬱陶しい程何度も表れて、編集者がきちんと仕事をしているのか疑わしく思える。

単行本を即買って精読するのは、確かこの巻で止めたはず。

腐してばかりですが、ただ、貴重な入門書であることには変わりありません。

本書ではネロ破滅後の内戦で、ガルバ、オト、ヴィテリウスの三皇帝が次々死を迎えてから、ヴェスパシアヌス帝による帝国の秩序再建、その二人の子ティトゥス、ドミティアヌスとそれを継いで五賢帝時代を拓くネルヴァの治世までが叙述範囲。

関連文献はタキトゥス『同時代史』ですが、これの通読は相当厳しいでしょう。

根気のある方は挑戦してみて下さい。

内容についてちょっと触れると、著者のヴェスパシアヌスへの評価はかなり高い。

これは他の本でも大体同様だが、短期間の治世の後病死したティトゥスにあっさりと触れた後、カリグラ・ネロと併せて古代から暴君扱いのドミティアヌスを意外なほど評価している。

ライン、ドナウ両河上流に挟まれた北方国境の防備を再構築したドミティアヌスの功績が称えられ、これは後の巻でも度々言及される。

『古代ローマ人名事典』の項でも以下のように書かれている。

伝統的にドミティアヌスは、ガイウス「カリグラ」やネロと並ぶ暴君として非難されている。しかし彼が暗愚な皇帝ではなかったことは、政治家と行政府の人選―そのなかには彼をあれほど手厳しく論難したタキトゥスや小プリニウスも含まれる―、ドナウ川沿岸地域における緊迫した軍事問題への身を挺しての精励、広範な建築事業を可能にした財政手腕に明らかである。・・・・・・陰気で冷酷、自己中心的で残忍な点でいやな人間という評価は今後も動かないにせよ、統治者としてのドミティアヌスは、凶暴で気まぐれなガイウスや愚劣なネロなどとの比較には値しない。

さて、このドミティアヌスが暗殺されて五賢帝時代直前のキリのいい所で終わりかなと思っていると、ネルヴァ帝の治世が最後の一章で片付けられてしまう。

治世が短いのもあるのだが、「ショート・リリーフ」という節があるように、五賢帝の一人目といっても、ネルヴァ自身はあまり積極的に評価されていない。

他の本だとさらに評価の低いものもある。

彼は、ネロに忠実に仕え反乱者の摘発に当たり、ドミティアヌス治下でも執政官などの重要な職務に就いていた。

再び『古代ローマ人名事典』によると、

明らかに彼は体制にきわめて忠実であった。彼がドミティアヌスの治世に追放を受けたという話は後代の願望がなせる作り話のように思われる。彼はそれほど尊敬すべき人物ではなかった。

と書かれていて、南川高志『ローマ五賢帝』(講談社現代新書)でもドミティアヌス派と反ドミティアヌス派の間で微妙なバランスを取りながら、慎重な政権運営をした人といった扱いであった。

なにやらイメージが崩された感じもするが、いややはり偉い人だったんだろうと思い直す気持ちもある。

最初につまらないと言ったわりに長々と書きましたが、やはりこの巻はあまり好きじゃないですね。

あくまで他の巻に比べれば、の話ですが。

2007年9月8日

塩野七生 『ローマ人の物語 17・18・19・20 悪名高き皇帝たち』 (新潮文庫)

Filed under: ローマ — 万年初心者 @ 06:00

ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロという帝政初期、ユリウス・クラウディウス朝の皇帝たちの治世を扱った巻。

アウグストゥスの家系が暴君の代名詞ネロで途絶えたことを初めて知ったときは軽い衝撃を受けたものだったが、カエサル家の悲劇の様相はただ史実を追うだけで十分面白い。

多分この巻が当シリーズで一番長大だが、全然冗長ではなく一気に読み通せる。

例によって本書を読んだ後は、タキトゥス『年代記』に取り組むのも良いでしょう。

しかし、何の留保も無しに絶賛できるのは、ひょっとしてこの巻までですかね。

2007年9月7日

塩野七生 『ローマ人の物語 14・15・16 パクス・ロマーナ』 (新潮文庫)

Filed under: ローマ — 万年初心者 @ 06:00

アウグストゥスの治世だけで一巻。

ペースがさらに落ちたわけで、ちゃんと西ローマ滅亡まで行くのかいなと余計な心配をしてしまう。

はしがきで著者が書いているように、緊迫感のある戦いの叙述もなく、ひたすら帝政の基盤としての各種制度を整備していく様を描いていくので、やや面白みには欠ける。

しかしそれでも相当読ませる。

しっかり読み込めば、初心者にとって相当有益。

カエサルほどではないがアウグストゥスを称揚し、その偉大さを平易に語っており、個人的にも大いに得心のいく巻でした。

2007年9月6日

塩野七生 『ローマ人の物語 11・12・13 ユリウス・カエサル ルビコン以後』 (新潮文庫)

Filed under: ローマ — 万年初心者 @ 06:00

三分の一まで来たところでカエサルまで、とはペースがやや遅い気がするが大丈夫なのかなという感想。

全編カエサル礼賛で埋め尽くされている巻。

もちろん、それなりに説得力のある論ではありますが。

本書も『内乱記』の「予習」として使えます。

末尾の一章がカエサル暗殺後のオクタヴィアヌス対アントニウス・クレオパトラの戦いに充てられている。

私はオクタヴィアヌスという人がユリアヌスと並んでローマ史の人物で一番好きで、この辺の話はそれこそ一巻費やして語って欲しいと思うくらいだったので、「えっ、これだけ」とガッカリしたのを覚えている。

内容的にはアントニウスとクレオパトラに異様に厳しいが、個人的には全く違和感無し。

はっきり言ってどちらも嫌いなので。

この巻も完成度は高く、分厚いわりにスラスラ読める。

シリーズ前半の出来は本当に素晴らしいです。

2007年9月5日

塩野七生 『ローマ人の物語 8・9・10 ユリウス・カエサル ルビコン以前』 (新潮文庫)

Filed under: ローマ — 万年初心者 @ 06:00

まずその分厚さに着目してから、副題見て二度ビックリ、カエサル一人に二巻も費やすのかと驚く。

カエサルの生い立ち、政界進出、三頭政治樹立とガリア征服まで。

著者が全ローマ史を通じて最も高く評価する人物であって、カエサルの実力と明晰さを称える文章が後の巻でもしつこいくらい繰り返し出てくる。

シリーズ通しても、この巻はかなりの完成度。

特にガリア征服の最終段階で、ヴェルキンゲトリクス率いる反乱軍とのアレシアでの決戦は緊迫感に満ちた叙述で大いに読ませる。

本書で概要を頭に入れてから『ガリア戦記』に挑戦すれば比較的楽に通読できると思います。

2007年9月4日

塩野七生 『ローマ人の物語 6・7 勝者の混迷』 (新潮文庫)

Filed under: ローマ — 万年初心者 @ 06:00

前巻に比べると、えらい薄くなったなあというのが第一印象。

グラックス兄弟からマリウス、スラの専制まで。

やむを得ないとは思うが、ハンニバル戦争を描いた前巻より、面白さではかなり落ちます。

しかしそれでも他の平凡な啓蒙書とは隔絶したレベルであることには違いありません。

本書も細かな制度に関わる記述で少々詰まる部分がないではないのですが、特に文庫で読むと、どんな長い巻でもスラスラ最後まで行けます。

これから新たに読もうという方には、やはり文庫版をお勧めします。

2007年9月3日

塩野七生 『ローマ人の物語 3・4・5 ハンニバル戦記』 (新潮文庫)

Filed under: ローマ — 万年初心者 @ 06:00

ポエニ戦争だけで丸々一巻使った第2巻。

第1巻で素晴らしさを知ったので、これは発売日当日にターミナル駅近くの大型書店で即購入。

えらい集中的に紙数を費やすんだなあというのが第一印象。

読み始めて、改めて入門書としての出来の良さに深い感銘を受ける。

非常に密度が濃い。

教科書ではわずか数行で扱われるだけの史実を血沸き肉躍るドラマに再構成している。

特にハンニバルと大スキピオの最終決戦となるザマの戦いの叙述は鳥肌が立つほど。

全巻通して見ても、非常に完成度の高い巻と言えると思う。

これだけ詳細な史実を面白く物語ってくれる本は貴重極まりない。

余程趣味に合わないという人以外は、本書はやはり買うべきだと思われます。

2007年9月2日

塩野七生 『ローマ人の物語 1・2 ローマは一日にして成らず』 (新潮文庫)

Filed under: ローマ — 万年初心者 @ 06:00

相変わらずネタが無いのと、暇なので、ローマ史のカテゴリで一番最初に記事にした塩野七生『ローマ人の物語』の各巻別の感想を文庫版に基いて書いてみます。

1992年この第一巻が出たとき、即買ったのではなかった。

確か刊行開始は知っていたはずだが、不覚にも購入は見送っており、発売後数ヶ月経って行きつけの小さな書店に並べられてあるのに気付いて、パラパラと立ち読みして良さそうなので購入。

一読してあまりの面白さに驚嘆する。

多彩な人物描写と巧みな史実の説明、豊富な逸話と的確・怜悧な著者自身の批評、読者を決して飽きさせない物語性と重要な史的構造・因果関係を平易に理解させる技術、これらが渾然一体となって、歴史叙述のお手本ともいうべき傑作を成り立たせている。

初心者向け世界史啓蒙書として自分が理想と考える水準をほぼ完璧に達成していることに感服した。

高校世界史があやふやな人でも、超初心者でも、誰でも面白く読むことができる。

これだけ素晴らしいレベルの入門書シリーズが刊行されていくことで、この先、大きな楽しみができたと非常に喜んだ。

この巻は伝説上のロムルスによる建国から共和政成立を経て、ポエニ戦争直前まで。

全15巻にしては随分先まで進んだなあ、初期共和政時代をもうちょっとじっくり描いてくれてもいいのにという感想を持った。

まさかその後カエサルだけで2巻を費やすとは思っていなかったので。

とにかく長大なシリーズの冒頭としては素晴らしい出来。

いろいろ言われてますが、初心者の世界史読書にはやはり欠かせぬ本でしょう。

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