万年初心者のための世界史ブックガイド

2007年6月28日

増田義郎 『古代アステカ王国』 (中公新書)

Filed under: ラテン・アメリカ — 万年初心者 @ 06:00

同じ著者の『インカ帝国探検記』の姉妹編。

コルテスによるアステカ王国征服を叙述した作品。

上記の本と同じく非常に良い。

特異な史実の展開が極めて面白いだけでなく、歴史評価についてもバランスが取れている。

スペイン人征服者の狡猾・残忍・強欲・独善に触れる一方、必ずしもそうとは言えない一面にも言及している。

またアステカ族についても、「無垢な犠牲者」という面だけで捉えてはいない。

孤立した文明圏で暮らしてきたがゆえにやむを得ない側面があったとはいえ、彼らが奇怪で恐ろしい宗教観・宇宙観を持っており、それゆえ残忍な人身御供の風習を続けていたこと、領土拡張や貢納要求のためでなく生贄として虐殺するための捕虜を得るため近隣部族に戦争をしかけ、そのため大きな恨みをかっていたことなどにも触れている。

(それら近隣部族はコルテスの征服行為においてスペイン人の有力な同盟者となる。)

話の展開が非常に面白い。初心者向けの本としては最高。

中公新書の創刊まもない1963年初版という古さだが、今読んでも極めて興味深い本。

これも重版再開して常時手に入れられるようにしてもらいたいもんです。

広告

WordPress.com Blog.

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。