万年初心者のための世界史ブックガイド

2007年6月14日

重光葵 『昭和の動乱 上・下』 (中公文庫)

Filed under: 近代日本 — 万年初心者 @ 06:00

日本外交の系譜を陸奥幣原来栖石射と辿ってきましたが、今度は重光の番です。

と言っても個人的体験に引き付けた回想録という性質は希薄で、ごく一般的な概説的史書の体裁。

満州事変勃発から戦艦ミズーリ艦上での降伏文書調印までの昭和史。

回顧録としては予想外れなのですが、昭和外交史概説としては非常に有益。

文章が極めて読みやすく、日本の軍閥勢力の消長、ヨーロッパとアジアの情勢の絡み合い、当時の為政者が置かれていた状況と為した決断、およびその後の出来事との因果関係が初心者にもわかりやすく叙述されている。

また基本的に内閣別の章立てになっており、日本内政の勉強にもなる。

これは良い。

ありきたりの退屈な日本外交史の教科書を読むくらいなら、本書を読んだ方が遥かにいい。

(なお同じような意味でお勧めは野田宣雄『ヒトラーの時代 上・下』(講談社学術文庫)。各国の指導者がどんな意図から何を政策決定の基準にしたのかが明快に説明されており、教科書で大まかな史実を把握しているだけの人間[つまり私]が読むと目から鱗が落ちます。)

未読の方には強くお勧めします。

さて、外交官の回顧録であと読むべきなのは東郷茂徳『時代の一面』(中公文庫)ですかね。

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