万年初心者のための世界史ブックガイド

2007年5月30日

石射猪太郎 『外交官の一生』 (中公文庫)

Filed under: 近代日本 — 万年初心者 @ 06:00

戦前の日本を奈落の底に突き落とした政治決定と言えば張作霖爆殺事件の不処罰、冀東防共自治政府を始めとする北支工作、イギリス主導の中国幣制改革への非協力、トラウトマン工作など日中全面戦争早期収拾策の失敗、三国同盟締結、南部仏印進駐、真珠湾奇襲などであろう。

それらと並んで悪名高いのが盧溝橋事件直後の現地停戦協定・不拡大路線を無視した内地三個師団動員で、結局これが日中戦争の泥沼化を招き、遂には日米開戦につながってしまった。

本書は支那事変勃発時の外務省東亜局長として近衛首相、広田外相に対し動員反対を強く働きかけた外交官石射猪太郎による回顧録。

幣原外交の正しさへの信念を持った石射が終戦後自らの外交官人生を振り返って書いたもので、非常に興味深い。

500ページを超える本だが、特に難解な部分も無く読みやすい。

近代日本外交史を学ぶ上で有益な本。

先日も書いたように網羅性を気にして退屈な教科書的書物を読むより、こういう本を一つ一つこなしていく方が結果的に多くのことを得られると思います。

もし標準的な通史テキストを読むのなら、以前記事にした岡崎久彦氏の日本外交史シリーズ(いずれもPHP文庫収録)のような、史実への取捨選択と評価が明瞭になされている面白い本を選ぶことを強くお勧めします。

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