万年初心者のための世界史ブックガイド

2007年5月15日

ロミラ・ターパル パーシヴァル・スピィア 『インド史 全3巻』 (みすず書房)

Filed under: インド — 万年初心者 @ 06:00

ブックガイドを名乗りながら、どこもかしこも穴だらけの当ブログですが、伝統的な西洋史・東洋史の範囲外の第三世界の歴史が特に酷い。

少しは反省して、手始めにまず本書に取り組むことにしました。

以前から存在は知っていたのだが、ちょっと長いし私にはレベルが高すぎる気がしたので敬遠していた。

しかし一度手にとってみると意外なほど容易に読み通せた。

1、2巻がインド人史家ターパル女史執筆でインダス文明からデリー・スルタン朝まで、3巻がイギリス人史家スピィア氏執筆でムガル朝からイギリス統治時代と印パ分離独立まで。

ページ配分が適切で、この手の概説にありがちな近現代史の肥大化に陥っておらず大変宜しい。

内容的には1、2巻では特に社会史と文化史の記述が多い。

しかしやや細かすぎる固有名詞を無理に憶えようとせず、その時代の社会の様相を大まかに理解すればよいと割り切れば、私のような人間でも実に興味深く読める記述である。

また私にとって南インド史は鬼門だったのだが、本書くらい詳しく説明されるとごく大雑把ながら少しは頭に残る。

サータヴァーハナ朝、ヴァカタカ朝、パッラヴァ朝とチャールキヤ朝、ラーシュトラクータ朝、チョーラ朝と復興チャールキヤ朝、パーンディヤ朝、バフマニー朝とヴィジャヤナガル王国とうろ覚えながら主要な王朝名くらいは頭に浮かぶようになった。

史実の解釈についても全巻通じて穏当であり、バランスが取れていると感じた。

例えば3巻の植民地時代においてはイギリスの統治を美化・正当化することもなく、インド側の欠陥・弱点から目を逸らすこともしない。

この辺の均衡の取れた叙述は最近の本では望み難い気がする。

総合的にみて非常に優れた概説書。

高校教科書レベルの知識しかなくても何とか通読できる。

かなり古い本ですが、個人的にはインド史の基本テキストはこれで十分という気がします。

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