万年初心者のための世界史ブックガイド

2007年4月30日

福田和也 『奇妙な廃墟』 (ちくま学芸文庫)

Filed under: フランス — 万年初心者 @ 06:00

『人種不平等論』の著者アルチュール・ド・ゴビノー、ドレフュス有罪論を強く主張したモーリス・バレス、極右王党派団体アクシオン・フランセーズの指導者シャルル・モーラス、1940年の敗北後対独協力の道を選んだピエール・ドリュ・ラ・ロシェル、ロベール・ブラジヤックなど、現代のフランスで蛇蝎の如く嫌悪されている文学者の列伝風著作。

私は文学史には興味が無いしわからないのだが、裏面から見た第三共和政史として読んだ。

未だ通読はできていないのだが、飛ばし読みした限りでは非常に面白い。

大型書店か図書館で一度ご覧下さい。

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2007年4月29日

ウィリアム・マクニール 『世界史』 (中央公論新社)

Filed under: アジア, ヨーロッパ — 万年初心者 @ 06:00

一冊の本で全世界史を物語ることは可能だろうか。

毒にも薬にもならない平板な教科書的記述ではなく、一人の著者によって書かれその人独自の史観が感じられ一貫した読物となっている一冊の世界史というのは有り得るか。

この問いに肯定的に答えるのは難しい。

今まで紹介した本の中では、宮崎市定氏の『アジア史概説』(中公文庫)および『アジア史論』(中公クラシックス)が最も近いかもしれない。

本書は以上の宮崎氏の著書と並んで、その稀な例外となっている、アメリカ歴史学界の長老が書いた世界史概説。

人類史における諸文明の興亡の明快かつ的確な見取り図を提示してくれる。

例示される史実とその説明は、無味乾燥な簡略さと晦渋な煩雑さの双方を避け深く説得的なものとなっている。

読後感は予想よりはるかに良かった。

定価3990円と結構値が張りますが、品切れにならないうちに買って手元に置いておくのが宜しいかと。

2007年4月28日

マルクス エンゲルス 『共産党宣言』 (岩波文庫)

Filed under: 思想・哲学 — 万年初心者 @ 06:00

有名な史料の一つとしてこれは読んでおいてもいいんじゃないでしょうか。

エンゲルスの『空想より科学へ』を加えてもいいですけど。

高校の時の私みたいに、これ読んで左派的考えを持つなんて阿呆な人間はもういないでしょうから。

大学に入ってレーニンの『国家と革命』を読んだときは「ああ狂信って怖いな」と思っただけでしたが。

無理に読む必要は全然無いですが、機会があればどうぞ。

2007年4月27日

岩間徹 『ヨーロッパの栄光 (世界の歴史16)』 (河出文庫)

Filed under: ヨーロッパ — 万年初心者 @ 06:00

中公旧版「世界の歴史」15巻『ファシズムと第二次大戦』で、岩間氏が執筆したスターリン時代のソ連史の叙述に感銘を受けたので購入。

19世紀ヨーロッパ史ですが、感想は「普通」ですね。

期待が大きすぎたのか、あまり面白いとは感じませんでした。

この時代の概説としては標準的で、そんなに悪い本ではないと思いますが。

2007年4月26日

塩野七生 『男の肖像』 (文春文庫)

Filed under: 史論・評論 — 万年初心者 @ 06:00

古今東西の政治家を中心とした男たちに関するごく短いエッセイ集。

暇なとき気軽に読めて結構面白い。

特にオクタヴィアヌスの右腕だったアグリッパの項は秀逸。

この人のエッセイではかなり好きな部類に入る本である。

2007年4月25日

モンテスキュー 『ローマ人盛衰原因論』 (岩波文庫)

Filed under: ローマ — 万年初心者 @ 06:00

古典的著作にしては読みやすい本です。

私でも楽に読み通せました。

しかしこれはローマ史の本というより、啓蒙思想家の典型的政治思想を知るための本ですね。

ローマ共和政の理想化と帝政をその堕落形態を捉える見方は鵜呑みにしないほうがいいかもしれません。

読めばそれなりに役に立つところもあるでしょうが、素人世界史愛好家にとっては必読とまでは言えないと思います。

2007年4月24日

神谷不二 『戦後史の中の日米関係』 (新潮社)

Filed under: 近代日本 — 万年初心者 @ 06:00

非常に読みやすく面白い戦後日米関係の概説書。

素人が盲点になっているようなポイントを整理し、わかりやすく解説してくれている。

あまりよく知られていないが、隠れた名著と言えるのではないだろうか。

2007年4月23日

フランソワ・フュレ 『フランス革命を考える』 (岩波書店)

Filed under: フランス — 万年初心者 @ 06:00

例によって例のごとく、良書と思い買ったものの一行も読まずに古書店行きとなった本です。

著者はフランス本国で革命への修正主義的見解をとる学者の中心人物らしいです。

ほんの少しパラパラと目を通しただけなんで、何も言えません。

読んだ上の推薦ではないですが、自分もいつかは読もうと思ってるんで皆さんも如何でしょうかとは言っておきます。

いつもながらいい加減ですみません。

2007年4月22日

サミュエル・ハンチントン 『文明の衝突』 (集英社)

Filed under: 国際関係・外交 — 万年初心者 @ 06:00

冷戦終結後世に出た国際関係理論の中で一番物議を醸した本でしょうか。

世俗的イデオロギーに替わって、宗教を中核としたいくつかの文明圏に世界が分かれて抗争と妥協が行われると主張。

中国とイスラム急進派の連合(儒教・イスラムコネクション)がアメリカを中心とした西欧文明にとって大いなる危険となり得ると予測。

しかし2001年の9・11テロ勃発当初は本書の見方についてあれこれ騒がれたものの、現実がはるか先に(悪い方に)進んでしまった感があり、今では言及されることが滅多に無くなりましたね。

私も買った当初は頻繁に本書のページを手繰っていたが、しばらく経つと書棚の隅に置きっぱなしという状態。

今特に買う必要はないと思います。全く未読で興味のある方だけ図書館で借りてください。

2007年4月21日

賀来弓月 『インド現代史』 (中公新書)

Filed under: インド — 万年初心者 @ 06:00

著者はインド駐在経験のある日本外交官。名前は仮名だったような気がする(すみません、定かじゃありません)。

読んだ覚えはあるんですが、内容は全く覚えてない(またか)。

アマゾンのレビューを読むと、興味深い本ではあるが内容が詳細すぎて初心者向けではないといったことが書かれている。

おそらく私の頭では咀嚼できない内容だったので記憶に残ってないんでしょう。

よって今日もタイトルを紹介することしかできません。どうもすみません。

2007年4月20日

平泉澄 『物語日本史 上・中・下』 (講談社学術文庫)

Filed under: 近代日本 — 万年初心者 @ 06:00

戦前皇国史観の主唱者だった平泉澄が戦後に書いた青少年向け日本史の文庫化。

当然全編そのような史観で書かれており、特に神代から始まる古代史の部分は紙数も多く費やされ充実している。

それだけでアレルギーを感じる人も多いだろうが、戦後的価値観に取り囲まれて来たせいか、個人的には反って新鮮に感じてしまう。

小中高と一応日本史を習ったが、あまり頭に入っておらずもう一度ざっと復習したいというときに読む本としては、これも候補になるでしょう。

明治維新以後は簡略であり、正確には「近代日本」カテゴリーにも入らないのだが、一読して実に面白いと思ったのであえて載せます。

足利氏は単なる逆賊、南北朝合同後の室町時代には語るべきことは何も無いといって実際大幅に記述を端折ってるのを読むと、さすがに何だかなあと思うが、そういう偏りを差し引いても読む価値はあると思います。

2007年4月19日

河部利夫 『東南アジア (世界の歴史18)』 (河出文庫)

Filed under: 東南アジア — 万年初心者 @ 06:00

中公旧版「世界の歴史」を通読した後、それに全く抜け落ちていた東南アジア史を補強するつもりで、手軽に入手できる河出文庫版「世界の歴史」の中の一巻である本書を買った。

しかしあっさりと挫折する。

どうにも読みにくくてしょうがない。

その後講談社旧版「世界の歴史」の永積昭『アジアの多島海』(実はこれも通読はしてないんですが)の末尾の参考文献欄で本書について「新たに日本人独自の視点からの通史を書こうという著者の意欲は評価するが、斬新過ぎて初学者は戸惑うのではないか」という意味のことが書かれていて、「ああやっぱり」と思った。

結論。東南アジア通史を読もうという場合、無理に本書を選ぶ必要は無いです。

他社の世界史シリーズの該当巻を読んだ方がいいでしょう。

2007年4月18日

立間祥介 『諸葛孔明』 (岩波新書)

Filed under: 中国 — 万年初心者 @ 06:00

三国志関係で山ほどある啓蒙書の中では、しっかりした内容を持つ本だと思う。

この種の関連本は読み出したらキリが無いし、あくまで世界史の中の中国史の一分野として受け止めて、深入りは避けましょう。

とは言え面白そうな作品も多いんですけどね。

私自身も、福田和也『作家の値うち』(飛鳥新社)の中で、北方謙三の『三国志』(角川春樹事務所)が、日本人の書いた三国志のうちで最も原典のニュアンスを伝えている出色の出来と書かれているのをみて、読もうかなと以前から迷っているところです。

2007年4月17日

トマス・モア 『ユートピア』 (岩波文庫)

Filed under: 思想・哲学 — 万年初心者 @ 06:00

これも「教科書に出ているような古典にとりあえず目を通しておこう」ということだけで読んだ本ですね。

さほど難しい本じゃないですので楽に読めます。

そんな面白くもないですが。

私は単に「目を通した」というだけなので、本書からどんなものを読み取ったかと聞かれても困ってしまう。

興味のある方だけどうぞ。

2007年4月16日

クレメンス・メッテルニヒ 『メッテルニヒの回想録』 (恒文社)

Filed under: ドイツ — 万年初心者 @ 06:00

すみません、これも買っただけです。

ウィーン会議の立役者である政治家の回顧録。

ナポレオンやアレクサンドル1世に関する記述は他の歴史書にもよく引用されている模様。

全く読めないほど詳細・晦渋ではないのだが、再挑戦する前に手放してしまった。

高坂正堯氏の『古典外交の成熟と崩壊』を読むと、この人は実に魅力的に見える人物なので、機会があれば買いなおして通読したい。

2007年4月15日

増田義郎 『物語ラテン・アメリカの歴史』 (中公新書)

Filed under: ラテン・アメリカ — 万年初心者 @ 06:00

「ラテン・アメリカ」のカテゴリで一般的通史が単著でゼロというのはいくらなんでも恥ずかしいなと思い本書を読む。

内容はまあまあ面白いが、やはり簡略すぎる。

そもそも独立運動がはじまるまでで三分の二の紙数を使ってしまっている。

ただポイントはよく突かれており、説明はわかりやすく、教科書の次に読むレベルの通史として十分使える。

短いながらもコルテス、ピサロ、シモン・ボリバル、サン・マルティンなどの人物描写は印象的であり、一貫した物語としてきちんと成り立っている。

これで独立後(特に二十世紀以後)が大幅に補強されていれば一層良かったのだろうが、そもそもこれだけ広範囲の分野について新書一冊読んで済まそうとするこちらの了見が間違っているのだろう。

講談社旧版か中公新版の「世界の歴史」のラテン・アメリカの巻にでも取り組むべきなんでしょうが、どうもやる気出ないんですよねえ。

2007年4月14日

ジェンティーレ 『イタリア現代史』 (世界思想社)

Filed under: イタリア — 万年初心者 @ 06:00

第二次世界大戦後のイタリア政治史。

それ自体類書が少なく貴重だが、本書は保守的イタリア人著者が、小党分立による政治の不安定となし崩しの左傾化を慨嘆するという視点がユニークなので買った。

何とか読み通しましたが、基礎知識の無い人間には相当苦しい。

やはりこういうマイナーなテーマでは、日本人著者が噛み砕いてわかりやすく書いた入門書が欲しいですね。

2007年4月13日

寒山碧 『鄧小平伝』 (中公新書)

Filed under: 中国 — 万年初心者 @ 06:00

1980年代半ばに香港で出た伝記の抄訳。

人民共和国建国後の中国を何とか現実主義路線に乗せようと毛沢東・林彪・江青と対立した鄧を好意的に描く反面、改革開放政策実施後も共産党統治体制を否定するような自由化は断固として拒否したことも明記している。

抄訳のため記述は簡略。だが普通の日本人読者にとってはこの程度の方がいいでしょう。

特に欠点も無く、手堅い良書。

中国現代史のサブテキストとして有益です。

2007年4月12日

平川祐弘 『平和の海と戦いの海』 (講談社学術文庫)

Filed under: 近代日本 — 万年初心者 @ 06:00

鈴木貫太郎首相とグルー駐日アメリカ大使を中心とした終戦工作と昭和天皇の「人間宣言」についてのノンフィクション作品。

極めて高雅で品格のある文章と端正で明確な史実の描写が深い感動を与える名著。

特に詳しい予備知識は要りませんので、気軽に手にとってみてください。

2007年4月11日

プラトン 『ソクラテスの弁明・クリトン』 (岩波文庫)

Filed under: 思想・哲学 — 万年初心者 @ 06:00

西洋思想史の第一ページにある本であり、短いので比較的楽に読める。

本来ならこれを読んだ後、教科書に出てくるような本を次々読破していくべきだったんだろうが、抽象的思考力ゼロの私はあと4、5点の作品を時代もバラバラで読むのが精一杯だった。

本書は読みやすいし、毛嫌いせずに一度手にとってみるのもよいでしょう。

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