万年初心者のための世界史ブックガイド

2007年3月31日

中谷臣 『世界史A・Bの基本演習』 (駿台文庫)

Filed under: 教科書・年表・事典 — 万年初心者 @ 06:00

私が受験時代一番使った参考書がこれ。

問題集ですが、もう試験を受けることも無いんですから、当然問題を解く必要はありません。

しかし良質の問題が揃っており、クイズ感覚でやってみると世界史を再勉強しようという社会人でも理解を深めてくれる。

解説も基本的には良い。特に独自の年表が非常に役立つ。

中国の南北朝時代やイスラム史、中央アジア史の大まかな流れ、近世ヨーロッパ史の横の繋がりなど、初心者が盲点になりがちな部分が要領良く一覧できるようにされており、わかりやすい。

『青木世界史講義の実況中継』と同じく、細かすぎたり首をかしげるような記述も無いでは無いが、受験生ではない人間でも役に立つ便利な本だと思います。

2007年3月30日

佐藤誠三郎 『「死の跳躍」を越えて』 (都市出版)

Filed under: 史論・評論 — 万年初心者 @ 06:00

中曽根政権のブレーンとしても活躍した保守派政治学者の論文集。

この人はとにかく著作が少ない。

これが一番一般向けかなと思うのですが、未だ全編通読はできないまま。

幕末知識人の対外認識、日本と朝鮮の近代化比較、1930年代と70年代における日米関係の対比などが主な内容。

特に三つ目に挙げた日米関係の論文を読んで思うのだが、この人の文章は本当に素晴らしい。

論理的に一分の隙も無い、明快で端正な文体にはホトホト感心させられる。

品切れみたいですけど、何とか復刊してもらえませんかねえ。

2007年3月29日

バーナード・ルイス 『イスラーム世界の二千年』 (草思社)

Filed under: イスラム・中東 — 万年初心者 @ 06:00

この著者は日本のイスラム研究者の少なからぬ部分から「ネオコン御用達で西欧中心主義のイスラム蔑視学者」とのレッテルを貼られて集中的に批判されているらしい(この辺のことは池内恵『書物の運命』(文芸春秋)をご覧下さい)。

だが、ひねくれ者の私は「ああそれだったら逆に安心して読めるな」と判断して、標準的概説書と思われる本書を買ってみた。

しかし見事に挫折しました。

今風の本らしく、政治史的叙述はごく簡略に済ませており、社会史と文化史の比重が高い。

私が求めているものとは差が有り過ぎました。

世界的な学者相手に「もうちょっとレベルを落として、物語風に諸王朝の興亡を記した、時代遅れの政治史を書いてくれませんか」なんて要望する方がおかしいとはわかってはいるんですけどね。

同じルイスの『アラブの歴史』(みすず書房)も特に政治史に重点を置いてるわけでもなく、そもそも短すぎる。

フィリップ・ヒッティ『アラブの歴史 上・下』(講談社学術文庫)は最近図書館で見た限りの印象では、以前手に取った時よりは面白そうで何とか通読できる可能性があると思ったが、やはり長大すぎる。

外国の著者によるイスラム史で良書を探すというのもなかなか難しいですね。

日本人が書いた本であまり難解でないものを読んだ方がいいかもしれません。

2007年3月28日

宮崎市定 『西アジア遊記』 (中公文庫)

Filed under: イスラム・中東 — 万年初心者 @ 06:00

前半は戦前の中東方面への紀行文で、後半は「西アジア史の展望」と題された簡略な中東史概説。

後半は『アジア史論』(中公クラシックス)に収められているので今も新刊として手に入る。

よって前半部分が買うに値するかということなんですが、借りて読むくらいでもいいかなあとも思います。

面白いことは面白いんですがね。

2007年3月27日

E・ルードウィッヒ 『ナポレオン伝』 (角川文庫)

Filed under: フランス — 万年初心者 @ 06:00

ナポレオン単独の伝記で通読したのはこれだけとは不勉強にも程がありますね。

まあナポレオン関係に限った話じゃないんですが・・・・・。

本書は個人生活と政治活動の両面がバランスよく叙述されており、なかなか良いです。

とっくに絶版ですがネット古書店では楽に見つかると思います。

エミール・ルートヴィヒ『ナポレオン 上・下』(講談社学術文庫)はたぶん同じ著者だと思うのだが、内容が全然違ったような記憶がある。同一著者の別物なのかな?

あと長塚隆二『ナポレオン 上・下』(文春文庫)は出たときに読もう読もうと思ってるうちに品切れになり、期を逸しました。

本書も処分してしまって今手元にないんで、ナポレオン関係の本を2、3点買って所持しておきたいですね。

2007年3月26日

長谷川松治 編 『世界の名著 トインビー』 (中央公論社)

Filed under: 史論・評論 — 万年初心者 @ 06:00

大著『歴史の研究』がいくらなんでも長すぎるので、抄訳されて一冊になったこれを買ってみた。

結局買っただけになってしまいましたが・・・・・。

トインビーは歴史の素人にも人気があるみたいなことを読んだことがありますが、これホントに面白いんでしょうか・・・・?

私には結局良さが全くわからないままでした。

本書の編集方針が史実の例示を極力省いて理論的な部分を残すというものらしく、それがまずかったのかとも思うが、しかし社会思想社から出ていた訳書は縮刷版でも全3巻らしいし初心者が通読するには相当厳しいでしょう。

興味のある方は挑戦してみてください。

2007年3月25日

永井陽之助 『平和の代償』 (中央公論社)

Filed under: 国際関係・外交 — 万年初心者 @ 06:00

高坂正堯氏と同時期にデビューし、現実主義的国際政治学者として活躍した永井陽之助氏の初期論文集。

1967年刊で、中国の核武装とヴェトナム戦争によるアジア情勢の緊迫化を題材にした国際政治評論。

シャープで明快な文体と深慮に満ちた政策提言が光る良書。

一読すれば得られるものは少なくないと思います。

2007年3月24日

青木裕司 『NEW青木世界史B講義の実況中継 全5巻』 (語学春秋社)

Filed under: 教科書・年表・事典 — 万年初心者 @ 06:00

受験参考書を紹介するのはちょっと違うかなとも思いますが、ブログ書いてる本人が高校生に毛が生えたような知識しか無いんで、ご容赦下さい。

これはかなり有名な本だと思いますが、私の受験時代には出版が間に合いませんでした。

同じ実況中継シリーズで山口俊治氏の英文法を読んで、そのあまりのわかりやすさに感動した覚えがあります。

話し言葉でわかりやすくスラスラ読めるのがこのシリーズの特徴で、本書も同様です。

ちょっと細か過ぎるかなと思うところがあったり、一部首をかしげるような記述があったりするのですが、それを補う長所があると言えるでしょう。

もう一度世界史をざっと復習したいが教科書を読むのはかったるいという人にとって、本書は有力な選択肢の一つになると思われます。

2007年3月23日

横山宏章 『中華民国』 (中公新書)

Filed under: 中国 — 万年初心者 @ 06:00

これは最後まで読んだのかな・・・・・?

多分途中で投げ出したんだと思うけど。

確か内容は辛亥革命後、「絶対善」扱いの孫文と「絶対悪」扱いの袁世凱の両者に権威主義的統治への志向という共通点が濃厚にあったというものみたいです。

結局近代の中国はあらゆる種類の急進主義によってズタズタに引き裂かれたような感があります。

そんな中で中庸と穏歩を貫いた人々というと康有為、宋教仁、胡適などでしょうか。

ただの表面的印象で不勉強な私にはわかりませんが。

博識な人がそういう穏健で懐疑的な視線で書いた、中国近現代史を読みたいものです。

2007年3月22日

ルネ・セディヨ 『フランス革命の代償』 (草思社)

Filed under: フランス — 万年初心者 @ 06:00

フランス革命がもたらした犠牲を各種の詳細なデータを用いて分野ごとに検証した本。

重要な本だとは思うのですが、恥ずかしながら買っただけなんですよねえ・・・・・・。

読む機会が無いまま処分してしまいました。

1991年初版の本ですが、今でも新刊として手に入るみたいですので、興味があればお買い求めください。

草思社は結構前の本でも品切れにせずに在庫を持ち続けてくれるみたいで好印象を持ちますね、と関係ない話でお茶を濁して読んでないこの本の紹介は終えます。

2007年3月21日

ベンジャミン・シュウォルツ 『中国共産党史』 (慶応通信)

Filed under: 中国 — 万年初心者 @ 06:00

著者のシュウォルツはアメリカの中国研究では有名人らしく、この本も各種の国際政治関係の本で参考文献として挙げられており、良書と言われているそうなので取り寄せて読んでみた。

しかし読後感はあまり芳しくなかった。

史実がわかりやすく頭に入るわけでもなし、独創的な視点に感心させられるわけでもなし。

まあ読み手の私にも問題があるんでしょうけど。

フェアバンクの『中国』と同じく、どうも欧米人にとって最適な入門書と日本人にとってのそれにはズレがあるように思える。

私としては特にお勧めはしませんが、良くない本だと断言もしないでおきます。

2007年3月20日

前嶋信次 『イスラムの時代』 (講談社学術文庫)

Filed under: イスラム・中東 — 万年初心者 @ 06:00

講談社旧版「世界の歴史」の中の一巻を文庫化したもの。

マホメットからオスマン帝国のスレイマン1世までのイスラム史概説。

これはよくまとまっていて非常に良い。

人物を中心にした物語風の叙述で、私のような初心者には適している。

冒頭のイスラム以前のアラビアの小王国の歴史は余分のような気がしますが、まあいいでしょう。

以前ギボン『ローマ帝国衰亡史』の中のイスラム史の記述を褒めましたが、あれを少し軟らかくした感じで読みやすい。

時代別・地域別に諸王朝の興亡を一つ一つ丁寧に見ていく構成で、完全に政治史が中心となっており、文化史・社会史・経済史はほとんど無い。

それが欠点と言えば欠点だが、初学者がイスラム史の大体の見取り図を得るにはこういう本の方がいいでしょう。

この種の本は現在の視点から見ると時代遅れということなんでしょうが、入門書としてはかえって優れた点がある。

私自身、もっと早く読めばよかったと思いました。

2007年3月19日

ジョージ・サンソム 『西欧世界と日本 上・中・下』 (ちくま学芸文庫)

Filed under: 近代日本 — 万年初心者 @ 06:00

著名な日本学者による日欧関係史。

文化史中心の記述で、あまり興味のある分野ではないのだが、買ってみて気の向いたときページを手繰っていると結構面白い。

通読は結局しなかったが、近代日本史の参考書として役に立つことが多い本ではないでしょうか。

2007年3月18日

戴季陶 『日本論』 (社会思想社 教養文庫)

Filed under: 近代日本 — 万年初心者 @ 06:00

国民党右派に属した中国人の手に成る日本人論。

高坂正堯氏の著書で触れられているので買ってみたのだが、わりと面白い。

版元が倒産してしまったので新刊としては手に入りませんが、興味があれば図書館か古書店でどうぞ。

話は変わりますが、この社会思想社の教養文庫にも「世界の歴史」シリーズがあって、かなり評判は良かったようですね。

かなり前に書店でパラパラ見たところ中国史とヨーロッパ史中心で他地域が手薄な昔ながらの世界史全集なのですが、エピソード豊富で物語性重視の歴史読物といった感がありました。

初心者向けとしては良いものだったのかもしれません。

私も中公旧版を通読した後、これでも読もうかと思ったこともありましたが、結局買わず、そのうちに出版社自体潰れてしまいました。

この『日本論』含め、教養文庫には結構面白そうな本が入っていたので少し残念ですね。

2007年3月17日

『角川世界史辞典』 (角川書店)

Filed under: 教科書・年表・事典 — 万年初心者 @ 06:00

比較的新しく、山川の辞典に比べれば収録語数は多い。

しかしこれでもまだ物足りない。

あと少し詳しければ言うことないのだが。

今はどんな種類でも紙の辞書は厳しい時代だから、これ以上の本格的な世界史辞典は望み薄かな。

2007年3月16日

福田和也 『バカでもわかる思想入門』 (新潮社)

Filed under: 思想・哲学 — 万年初心者 @ 06:00

タイトル通り、プラトン・マルクス・孫子・親鸞・ハイデガーなど古今東西の思想家たちの入門の入門といった感じの本。

バカ話を交えたごく簡略な紹介だが、結構面白い。

暇潰しのつもりで寝転がりながらでも読める。

同じ著者で主に政治家を対象にした『超・偉人伝』(新潮文庫)も楽しい。

2007年3月15日

竺沙雅章 『征服王朝の時代 (新書東洋史3)』 (講談社現代新書)

Filed under: 中国 — 万年初心者 @ 06:00

これを読んだのは確か浪人時代だったはず。

駿台予備校の模試の解説で参考文献として挙げられているのを見て買ったような覚えがある。

苦手科目の勉強もせず、そんなことしてるから第一志望に落ちるんですね。

それはともかく・・・・・。

コンパクトで理論的な話はなかなか面白かったような気がする。

しかし新書版だけにエピソードや挿話の類いは少なく、物語としての面白みは少ない。

可もなく不可もなくといった感じ。

この新書東洋史の中国史の部分はちょっと微妙ですね。

馴染みのない東南アジアや中央アジアの巻は簡略で手ごろな入門書だと思うんですが。

2007年3月14日

井上靖 『敦煌』 (新潮文庫)

Filed under: 中国, 中央アジア — 万年初心者 @ 06:00

これは佐藤浩市と西田敏行主演の映画を先に見た。

それがかなり面白かったので、原作を読む。

まあまあ面白いです。

宋と西夏の対立を背景にした歴史小説。

著名な政治的史実を扱ったものではないですが、当時の社会の雰囲気を描いたものとしては非常に良いのではないでしょうか。

2007年3月13日

山内昌之 『近代イスラームの挑戦 (世界の歴史20)』 (中央公論社)

Filed under: イスラム・中東, 全集 — 万年初心者 @ 06:00

中公新版「世界の歴史」第2回配本。

ナポレオンのエジプト遠征から青年トルコ革命までの中東史。

これは良かった。

変な偏りもなく、手堅い記述。

将来文庫化されたら必ず買うと思う。

2007年3月12日

中江兆民 『三酔人経綸問答』 (岩波文庫)

Filed under: 近代日本 — 万年初心者 @ 06:00

高坂正堯氏の『国際政治』(中公新書)での引用で本書を知る。

明治日本の外交と内政における理想主義と現実主義との相克を浮かび上がらせる書物。

現代語訳が載っているので楽に読める。

是非にとは言いませんが、一読すればそれなりに得るところはあると思います。

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