万年初心者のための世界史ブックガイド

2007年2月28日

ヘンリー・キッシンジャー 『キッシンジャー激動の時代 1 ブレジネフと毛沢東』 (小学館)

Filed under: アメリカ, 国際関係・外交 — 万年初心者 @ 06:00

『キッシンジャー秘録』の続編となる回顧録。

1973年の国務長官就任から翌年のニクソン辞任まで。

全3巻だが私が所持していたのは第1巻のみ。

『秘録』と同じく通読はしておらず、飛ばし読みだけだがそれでも得るところはあり、かなり面白かった。

2、3巻は第四次中東戦争とその際の石油危機の話が中心で、国際経済の分野に入るので(私にとっては)興味が薄れた。

多くの図書館で置いてあると思うので、暇があれば借りてみてください。

2007年2月27日

K・C・ホイーア 『リンカン その生涯と思想』 (岩波新書)

Filed under: アメリカ — 万年初心者 @ 06:00

誰でも名前を知ってる超有名人のリンカーンだが、では日本語で読める適当な伝記はと言われると戸惑ってしまう。

カール・サンドバーグ『エブラハム・リンカーン 全3巻』(新潮社)が定評のあるものらしいが、古くて手に入りにくいし、長くて初心者向きとは思えない。

そこで古本屋の格安コーナーに転がってた本書を買ったのだが、どうも良くない。

アメリカ人学者が同国人向けに書いたものらしく、新書にしては程度が高い。

奴隷制度の論争や妥協についての説明が非常に分かりにくかった記憶がある。

これを再読するより、別の本探したほうがよさそうですね。

2007年2月26日

ジェイムズ・ジョル 『ヨーロッパ100年史 全2巻』 (みすず書房)

Filed under: 近現代概説 — 万年初心者 @ 06:00

ドイツ統一から100年間のヨーロッパ史。

教科書的な詰まらない記述ではなく、生き生きとした物語風の叙述を心がけた本。

と思うのだが、あまり強い印象は残っていない。

心底面白いとまでは思わなかった。

10年近く前、新刊定価で買ったんですが高かったですね。

そのことが一番印象に残ってたりする。

2007年2月25日

岡崎文夫 『隋唐帝国五代史』 (平凡社 東洋文庫)

Filed under: 中国 — 万年初心者 @ 06:00

『魏晋南北朝通史 内編』の記事で、本書を「読んだかどうかすら覚えていない」と書きましたが、よく考えたら読んでますね。

読んだことは間違いない。ただ内容はほとんど頭の中に残っていない。

ちょっと古い本ですが、政治史を中心としたオーソドックスな記述なので私でも通読できたんでしょう。

私にとっては少し程度が高いですが、いい本だとは思いますんで、機会があればどうぞ。

2007年2月24日

ハロルド・ニコルソン 『外交』 (東京大学出版会)

Filed under: 国際関係・外交 — 万年初心者 @ 06:00

1930年代初版の、かなり有名な古典的著作。

それほど長くなく、比較的読みやすい。

英仏独伊の外交手法分析など興味深い所もあるが、期待していたほどの面白さはなかった気がする。

しかし一種の定番本だし、読んでおいて良かったとは思う。

2007年2月23日

エドワード・ギボン 『ローマ帝国衰亡史 9』 (ちくま学芸文庫)

Filed under: ビザンツ — 万年初心者 @ 06:00

この巻は冒頭で南イタリアとシチリアにおけるビザンツ・イスラム・ノルマンの三つ巴の抗争と次章でのセルジューク・トルコの台頭と聖地イェルサレム占領が記述された後、十字軍の歴史がその主題となります。

しかしセルジューク朝の叙述は面白いですね。『衰亡史』後半はビザンツ史そのものより、イスラム諸王朝の歴史の方がはるかに面白い。

十字軍史も出色の出来です。教科書の無味乾燥な記述に肉付けする上で、これ以上ないほど楽しく興味深い叙述です。

啓蒙思想の子たるギボンは十字軍にやや批判的ですが、かといって敵手のイスラム圏を理想化するような現代の政治的偏見にも当然無縁です。

個人的にはこのくらいのスタンスが一番抵抗なく読めるので、非常に良かったです。

第四回十字軍とビザンツ帝国の一時的滅亡は特にページを割いて扱われ、ラテン帝国とニケーア帝国の戦い、コンスタンティノープル奪回とビザンツ帝国復興、それと同時に成立したビザンツ最後の王朝であるパラエオログス朝の歴史も詳しく記述されます。

しかし以上各国の統治者の系譜をいちいち暗記できるかというとかなり苦しいですね。

読んでる途中はああ面白いで済みますが、一週間で忘れてしまいそう。

本書の前半でも7巻で出てきたビザンツ皇帝がポツポツ登場するのですが、ほとんど忘れてました。いちいち7巻を引っ張り出して末尾の皇帝在位表で確認する羽目になりました。

私の物覚えが悪いのは事実ですが、まあ仕方ないのかも。

事前の予想ではこの巻はちょっと苦しいかなと思ったのですが、意外と楽に読めました。

もし無人島に流されるとしたら、持っていく本はこの『衰亡史』に限りますね。

全10巻通読する頃には最初の方は綺麗サッパリ忘れてますから、永久に暇潰しできます。

さて、残り一巻気合を入れて読んで、近いうちにまた記事にします。

2007年2月22日

司馬遼太郎 『草原の記』 (新潮文庫)

Filed under: 史論・評論 — 万年初心者 @ 06:00

あるモンゴル人女性の半生を軸に、モンゴルと中国の歴史と日本の現代史を描いた史的エッセイ。

確かにある種の感動を与えてくれる本ではあるが、まとまった史実を多く得られる本ではない。

まあそもそも本書にそういうことを求めるのが間違いなのだろうが。

しかし個人的には多くの人が褒めるほどにはいい本とは思わなかった。

2007年2月21日

ヘレン・ミアーズ 『アメリカの鏡・日本』 (角川学芸出版)

Filed under: 近代日本 — 万年初心者 @ 06:00

終戦直後にアメリカ人学者によって書かれたGHQの占領政策および戦前のアメリカ政策批判の書。

この本を日本人が自国弁護のために用いるのはあるいはフェアではないかもしれないが、「アメリカの正義」をその絶頂期にこうまで徹底的に相対化した文章は凄いと言うほか無い。

一度は読んでみた方がいい本だと思います。

2007年2月20日

アルフレッド・マハン 『海上権力史論』 (原書房)

Filed under: 国際関係・外交 — 万年初心者 @ 06:00

大型書店の世界史関連の棚をボーっと眺めていたとき、偶然見つける。

戦略理論家としてのマハンの名は知っていたが、このような訳書が出ていたことは全く知らず、感激して即購入。

しかし内容は微妙。世界史上の覇権闘争において制海権の確保が決定的役割を果たしたと主張する歴史論なのだが、読むのに手間がかかるわりに面白くない。

私はこの種の戦略論が好きなほうなのだが、本書は読み通すのに苦労した。

抄訳なのがかえって良くないのか。再読すべきだなと思う本の一つである。

2007年2月19日

外川継男 『ロシアとソ連邦』 (講談社学術文庫)

Filed under: ロシア — 万年初心者 @ 06:00

確か元は講談社旧版「世界の歴史」シリーズの一冊で、その文庫化。

ロシア史の標準的テキストとして適当かと思い、通読。

読了後の感想は・・・・・「普通」。あんまり面白くない。

最近こんなのばっかりですね。

最近記事にする本は、読んだのち売ったり処分したりした本がほとんどなので、勢い自分の中の評価は高くないものが多い。

心底面白いと思った本は各カテゴリの最初の方ですでに書いてしまってるので(一部例外あり)、なかなか強くお勧めしたいという本がない。

まあこれも途中で投げ出すほどでもないので、機会があればどうぞ。

2007年2月18日

森島守人 『真珠湾・リスボン・東京 続一外交官の回想』 (岩波新書)

Filed under: 近代日本 — 万年初心者 @ 06:00

『陰謀・暗殺・軍刀』の続編。これも1991年復刊されたとき購入。

しかし内容は・・・・・覚えていない。

著者は第二次大戦中はリスボンの日本大使館に駐在。スペインのフランコと並ぶ独裁者であるポルトガルのサラザールに著者が意外なほど好意的だったことだけが印象に残っている。

一度、図書館で借りてパラパラ眺めてみるかな。

2007年2月17日

中嶋嶺雄 編 『中国現代史』 (有斐閣)

Filed under: 中国 — 万年初心者 @ 06:00

私が読んだのは1981年初版の旧版である。今は1996年刊の新版が出ているようだ。

アヘン戦争以後から改革開放政策確立までの中国史。

編者が中嶋嶺雄氏だし、しっかりした内容だろうと思い購入。

しかしどうも面白くない。

多数の執筆者が分担して各時代を書いているのだが、特筆すべき点が無い。

可も無く不可も無くといった文章が続き、最後の中嶋氏の中華人民共和国史に至る。

ここはさすがに手堅いが、中公新書の『中国 歴史・社会・国際関係』とは別にあえて読む必要があるかと言うと微妙。

私の感想が偏っているのかもしれないが、今まで再読の機会が無かったので何とも言えない。

2007年2月16日

エドワード・ギボン 『ローマ帝国衰亡史 8』 (ちくま学芸文庫)

Filed under: イスラム・中東, ビザンツ — 万年初心者 @ 06:00

本巻の中心テーマはイスラムの勃興で、冒頭から四分の三のページがそれに充てられています。

感想ですが・・・・・・面白い!! ものすごく面白い。その一言に尽きます。

マホメットの宣教からアッバース朝の衰退と分裂までのイスラム史がこれ以上ないほど興味深く叙述されている。

著者のギボンはアラビア語、ペルシア語はじめ東方諸言語を知らず、ヨーロッパ語に訳された史料だけを材料に記述せざるを得なかったのだが、ギボンのストーリー・テラーとしての才能がそういう不利な要因を完全に克服している。

歴史学の専門化が全く進んでいなかった200年前に二次史料に基づいて書かれた以上、今の目から見て不完全さは免れないとしても、面白いものは面白い。

初心者向けイスラム史概説としては一番いいんではないだろうか。

これまで何度か書いてきたように、素人の歴史愛好者が各地域の歴史を学ぶ際、一番初歩的な段階で何より必要とするものは、本書のような「人物中心に叙述された物語風の政治史」である。

時代遅れだろうが、レベルが低かろうが、最初の見取り図としてその種の政治史の必要性は不変のはず(その次の段階に進まず[進めず]同じ所をうろうろしてる私のような人間もいるが、それは自業自得でまた別の問題です)。

現在の研究者の方々も馬鹿にされるのを恐れず、自らの研究分野で一冊はそういう入門書を書いて頂きたいです。

さて内容ですが、マホメットの堅信と偉大さおよびその狂信がもたらした弊害をともに認めながら、初期ムスリム共同体の発足と発展をギボンの筆は華麗に描いていきます。

第四代カリフ、アリーの謙虚な人柄が好意的に描かれた後、彼とその息子が巻き込まれた悲劇と、イスラム揺籃期にクライシュ族内で最もマホメットに敵対的だったアブ・スフィアンの息子ムアーウィアがウマイヤ朝をひらく事態が記されます。

以後ペルシア、シリア、エジプト、北アフリカ、スペインへのイスラムの大膨張の章が続きます。

ペルシアに関しては高校世界史でもお馴染みのニハーヴァンドの戦いはごく簡単に触れられるだけでむしろその前段階のカデーシアの戦いが重視され、最終的にペルシア王子の唐王朝への亡命によって、ギボン『衰亡史』においてこれまでローマのライバルとして何度も登場してきたササン朝ペルシア帝国は永久に退場します。

他地域への侵攻については、特にシリア征服者で「神の剣」と呼ばれた初期イスラムにおける最大の猛将ハリドの活躍が印象に残ります。

大征服の後、アッバース朝革命が成功しますが、ハールーン・アッラシードとマームーンによる短い盛期を経て、かつてのローマを思わせるような分裂と蛮族の傭兵による弱体化で衰退していきます。

残り四分の一に入ると、まず10世紀ごろのビザンツ帝国の概況があります。さほど面白くないのでさっと済ませて次の章に行きます。

するとまたパウロ派という異端の話で、前巻のネストリウス派・単性論よりマイナーでがっくりですが、ほんの20ページほどですのでそれほど辛くありません。

最後はブルガリア、ハンガリー、ロシアの起源と発展の章でこれはまあまあ面白いです。

結論。この巻は楽でした。全体的に見て『衰亡史』後半の白眉と言ってよいほど面白い。残り2巻もこの調子で行きたいもんです。

2007年2月15日

曽村保信 『地政学入門』 (中公新書)

Filed under: 国際関係・外交 — 万年初心者 @ 06:00

地理学と軍事学と国際政治学をごっちゃにしたような学問である地政学の入門書。

わりと有名な本らしく、よく名前を挙げられており、評判も良い。

私は正直それほど面白いとも思わなかったが・・・・・。

まあ現代史の参考文献として読んでおくのも悪くないでしょう。

2007年2月14日

尾鍋輝彦 『カイゼルの髭 (大世界史19)』 (文芸春秋)

Filed under: ヨーロッパ — 万年初心者 @ 06:00

またまた文春「大世界史」シリーズ。(たぶん)ドイツ統一から第一次世界大戦勃発までが記述範囲だったと思う。

数日前の『自由と統一をめざして』と同じく、ごく普通の出来。

ただ、ビスマルクの同盟外交の経緯が詳細かつわかりやすく説明されていた印象があるので、それが一番の取り柄か。

読めばそれなりに役に立つところがあると思います。

2007年2月13日

高坂正堯 『世界史を創る人びと 現代指導者論』 (日本経済新聞社)

Filed under: 史論・評論 — 万年初心者 @ 06:00

1965年刊で高坂氏のかなり早いころの著作。

ケネディ、フルシチョフ、毛沢東など当時の政治指導者のごく簡略な伝記から成る本。

高坂氏の他の著作と比べて、正直さほど斬新な見方や考察が得られるわけではないが、一読すればそれなりに参考になる。

新書版で短いので通読も楽。

2007年2月12日

吉田寅 他・編 『世界史のための文献案内』 (山川出版社)

Filed under: 読書論 — 万年初心者 @ 06:00

図書館で偶然見つけて借りたのだが、これは非常に有益である。

世界史の各分野ごとに相当数の日本語文献が挙げられており、一部に簡略なコメントが付されている。

やる気の出ないときパラパラと眺めてると、読書意欲を刺激されて良い。

さほど高くもないし、手元に置いておくと便利。

ただし「この本あったら、あの変なブログなんて見る必要ないな」とか身も蓋も無いことは言わないでください。

2007年2月11日

矢田俊隆 『自由と統一をめざして (大世界史17)』 (文芸春秋)

Filed under: ヨーロッパ — 万年初心者 @ 06:00

「大世界史」シリーズの19世紀ヨーロッパ史。

結論を言うと、面白くないです。

ごく平凡な記述で特筆すべき点は無し。

このシリーズの現代史の執筆陣は、衛藤瀋吉・林健太郎・野田宣雄・猪木正道・高坂正堯と例えようもないほど豪華で素晴らしいのだが、他の時代は当たり前だが玉石混交ですね。

ただそもそも読む前に期待しすぎだったのかもしれないし、本書も悪いと言うほどでもないのかもしれない。

2007年2月10日

エドワード・ギボン 『ローマ帝国衰亡史 7』 (ちくま学芸文庫)

Filed under: ビザンツ — 万年初心者 @ 06:00

前巻からちょっと間が空きましたが挫折はしておりません。

ユスティニアヌス1世死後、帝国の国威は大きく揺らぎ、イタリアはランゴバルド族侵入によって半ば以上失われ、バルカンではアヴァール族が猛威を振るう。

そして東方国境ではホスロー1世死後も攻勢を弛めないササン朝ペルシアが侵攻し、ビザンツ帝国はシリア・エジプトの喪失という一大危機を迎える。

その時即位したヘラクリウス(ヘラクレイオス)1世が決然と立ち、軍を率いて見事ササン朝軍を撃退し、シリアとエジプトを回復する。

この辺の記述は精彩に富み、非常に面白い。前巻のベリサリウスによるアフリカ・イタリア征服と並ぶくらい爽快感が得られる。

(ちなみにそのヘラクレイオスの栄光も束の間、イスラムの興起とその爆発的膨張によって回復されたシリア・エジプトは再び奪取され永久に失われることとなる。)

その次の章は前半でもあったキリスト教の教義に関するものである。

主にネストリウス派と単性論を扱っており、要はキリストの神性と人性のバランスについての神学上の争いなのだが、読んでもわかったようなわからないような・・・・・微妙な記述。

私の頭ではよく理解できない。

前半部分のキリスト教関連の章は、ニケーア公会議以後でもアリウス派が一時優位に立っていたり、アタナシウスが追放されたりといった意外な事実があって面白みが無いでは無かったが、本書のこの章は少し厳しい。

飛ばし読みしたわけではないが、無理に頭に入れようともしなかった。

それが終わると今度は、ヘラクレイオス朝から第四回十字軍による帝国の一時的滅亡直前までの約600年間の帝位の変遷を一章でまとめるという荒業にギボンは出ます。

次巻以降はイスラムとアラブ人、ブルガリア人、ノルマン人、十字軍、トルコ人などのテーマ・民族別の章立てになるため、ビザンツの各王朝の歴史はここである程度一括して記述を済ませる意図のようです。

私はこういう権力の有為転変を記した叙述が好きだし、ギボンの文章術も相変わらずの冴えを見せるが、対象がこれだけ長期間に及ぶとさすがに単調だし、さっぱり印象に残らない。

巻末の皇帝在位表を何度も確認しながらよっぽど集中して繰り返し読むか、ノートでも取らない限り暗記するのは無理ですね。

ここを読むのも3回目のはずなのだが、ほとんど記憶に残ってない。

そして終章は聖像禁止令がもたらした混乱とローマ教皇の自立、シャルルマーニュの戴冠とその衣鉢を継ぐ神聖ローマ帝国の国制。

ここはわりと読みやすく、やれやれ助かったといった感じ。

以上ちょっと苦しい部分もありましたが、何とか読了。

一週間で一冊読破のペースで最後まで行きましょう。

8巻のイスラム史の叙述が楽しみです。

2007年2月9日

ポール・ジョンソン 『現代史 上・下』 (共同通信社)

Filed under: 近現代概説 — 万年初心者 @ 06:00

保守・タカ派のイギリス人評論家の手に成る物語風の二十世紀史。

急進的社会改良と反市場メカニズムを強く否定する観点から史実をばっさり裁断し、全体主義的体制とその指導者に対しては口を極めて罵倒している。

それは結構なのだが、著者の場合、その善悪の判別の基準が個人責任と言う観念を中心とする「ユダヤ・キリスト教的価値観」の有無らしく、どうも逸脱や行き過ぎと思われる部分もあり、戦前の日本に対する偏見も相当のものがある。

初読の際は腹が立ってしょうがなかったが、今はこれだけ言いたい放題の著者じゃあ、まあ仕方ないかとも思う。

文章は非常に読みやすく、翻訳もこなれている。興味深いエピソードを交え、流れるような文体で大冊を飽きさせずに読ませる。

通常同情的に扱われがちな第三世界の独立運動指導者へも容赦が無い。

特に独立後のアフリカの惨状を記述した章は面白いだけでなく、考えさせられるところが多い。

ほとんどの指導者が国の状況を独立前よりむしろ悪化させたと非難の対象になっているが、その分、法治主義と市場経済を維持して比較的穏健な統治を敷いたケニアやコートジヴォワールなどの例外が深く印象に残る(もっとも本書刊行後の両国の政情は必ずしも安定していないようだが)。

好き嫌いがはっきり分かれる本だと思うので、一度図書館でご覧ください。

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